《MUMEI》
名前
良し、乗せてもらった・・・。

後は、殺すだけ。

「あの・・・この辺の事良く分からないので、泊めさせて頂けませんか?」と男に聞いた。

「あ、全然良いですよ、でも子供いるけど大丈夫ですか?」と言って来た。

「奥さんは・・・?」と聞いた。奥さんがいたら、いちいちメンドクサイから。

「妻とは、2年前に離婚したから、いませんよ。」と言った。

「スミマセン、じゃあお願いします。」と言った後、男とは何も話さなかった。

家に着いた。
子供もいるのか・・・。 ま、見ないし大丈夫でしょう。

「ここ・・・ですか?」車が止まったから私は男に聞いた。

「そうです、ここが家です。」と答えた。

ここか・・・、ここでやっと殺せるのか・・・。

私は段々楽しみになって来た。
今までの願いが叶うから。

「そういえば、お嬢さんの名前ってなんですか?」男は聞いてきた。

しまった、名前なんか考えてなかった・・・!
どうしよう。 前の名前を言おう。
そうしたら、何か反応がつかめるかもしれない。

「黒田友莉です。」これが私の生きてた頃の名前、男の顔を良く見て、反応を見ないと。

「く・・・黒田・・・友莉・・・?」男は青ざめた顔で言って来た。

「え、どうしたんですか?」と私は何も知らないかの様に聞き返した。

「黒田友莉・・・。」男はそういったまま、何も言わなくなった。

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