《MUMEI》 「裏」 見てみる様促され、それを返して見れば 何かが書き殴られている事に気付く よくよく見てみれば、それは携帯電話の番号だった 「気が向いたら、な」 そのレシートを握ったまま、暫く呆然としている安堂に肩を揺らしながら 三原はやんわりと手を振ってやりながらその場を後にしていた 帰路をのんびりと歩いていると、背広の内ポケットに入れている携帯が思い出したかの様に鳴る 覚えのない番号だったが、さっきの今で安堂からだろうと出てみる 『……あ、あの!わ、私の携帯の番号も知ってて欲しくて、ソレで……!』 「態々掛けてきてくれた訳か」 『は、はい……』 恐らくは顔も真っ赤に話をしているだろう事が容易に想像でき 三原は安堂にばれない様僅かに笑ってやりながら 「ありがとな」 ちゃんと登録しておくから、と続けてやれば 電話の向こう側から小声で「はい」の返答が返る 『……じゃ、今日はもう切りますね。また明日って、言ってもいいですか?』 「なら、明日も茶、飲ませてくれる?」 『は、はい!美味しいお茶淹れて、待ってます。……おやすみなさい』 「おやすみ」 通話も切れ暫く後、三原は僅かに肩を揺らす らしくない事をしている、と 自分自身を笑いながら、だが穏やかな心持で家路へと着いたのだった…… 前へ |次へ |
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