《MUMEI》 月隠れの深夜、フイリプは屋敷を抜け出した。とある崇高なる目的を、実行に移すためであった。 祭が催されていた、空き地にはテントが無数に張られていて、そこらに無秩序に配置された貼紙には、見世物小屋は朝に撤収すると記載されている。 足音を極力無くしながら、人の気配のするテントを避け、一際こじんまりとしたテントを見付けた。 鰓で呼吸をする音が、ささやかに響いていた。 前へ |次へ |
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