《MUMEI》

鏡の割れた音で、踞って眠る獣のような大男は、目覚めた。
目覚めた大男に向かって、フイリプは、煙玉をぶつけた。
目潰しのために、睡眠導入剤の効果もある香辛料を、塗ってあるものだ。

卓上の金魚鉢を引ったくり、フイリプは灯油を垂らしたハンカチを取り出し、マッチを擦る。

テントを囲んだ炎は、紅蓮の山となり、地獄絵図を映し出す。
フイリプはテントの阿鼻叫喚を背後に、崇高な目的のため、走り出した。

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