《MUMEI》 ‡ ジリジリと焼き付ける太陽、コンクリートは熱を出せず熱くなる一方。 「………………寝れない」 誰もいない屋上、風が吹いて気持ちいい寝床かなと思った自分が馬鹿だった。熱い、とにかく熱い うーんと唸りながらゴロゴロと転がる千尋 「今年の天気は日によっての温度差が激しい。昨日は涼しくて最適だったのになぁ…」 まぶしい空を見上げる 「あ、…あんまり光見ちゃいけないんだった。眩し−」 瞳の色素が人より薄い千尋は日光の光は強すぎて目に害になってしまう。 ムクリと起き上がり手すりまで歩いた、すると自分の向こうの校舎の教室では授業中でみんな席に付き真面目にノートをとっていた………と、思ったら窓際のいい位置に座っている髪の長いパッツンが気持ちよく寝ているのが見えた。 ――――――――あの子… 千尋の目に入ったのは爆睡しきった花笑だった。 「真面目そうな顔して案外不真面目なんだ」 肘を付き項垂れながら花笑を見る ま、ど―でもいんだけどね 女が嫌いだから。 ハッ、と笑って手すりから離れた。 ▼▽ 「も…………もう座布団運びはこりごりだァ!!」 ガタン!静かだった教室に騒音と叫びがコントラストして響き渡った ハァハァ荒い息にボサボサと乱れきった髪、何事が起きたのかたとクラスメイトは驚きながら窓際にいた花笑に視線を送る。 「……ハァ、ハァ………………あれ、夢?」 とぼけた顔で呟く 「鈴村ァ、今は数学の時間だ。座布団運びはいいから前に出て黒板にこの公式あてはめて書け」 数学担当の中津は黒板に書かれた問3の問題を指差す 「……………………あれ、寝違えたかもコレやばいかもコレ」 「見苦しい言い逃れは止めましょう、はいさっさと前出る―」 花笑のことはお構い無しにパンパンと両手を叩いて急かす。 花笑は小さく舌打ちをした ‡ 前へ |次へ |
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