《MUMEI》

「健太っ」

「お〜!愛香!いきなりごめんなあ〜!」


いやいや、いきなりは別にいいんだけど…。


「何故にバイク…?」

「あ〜俺実は高校入ってすぐ免許とっててさ!バイクだけなかったわけ!…で、兄貴が譲ってくれたんだよ〜!」

「…へぇ…」


でも…似合ってる、バイク…。

ただ、何でこんな時間にバイクで来るのよ。

もっと早く来てくれればよかったのに。

…もしかして、今からどっか行く気?


「じゃ…はい、ヘルメット!」

「了解!…じゃなくてさ…どこ行く気なんですか?」

「適当!ドライブ的な!ちょっとバイク乗りたくなってさあ!でも一人じゃ嫌だったから愛香を、な!」


…意味分からないけど、私に拒否権はなさそう。

ヘルメットをかぶせられ、何故か一回私を抱きしめる健太。

…ここ、私んちの前なんだからね?

家族に見られたらたまらなく恥ずかしいよ。

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