《MUMEI》 ―4―「まっ、雛みたいなバレ方じゃないだけ、マシだろう?」 「雛にとっては何のダメージにもなっていないわよ。そもそも部のことだって、悲観していないんだから」 「確かにね。彼女にとってはどーでも良いことの一つだろうし」 そう言って笑みを浮かべる依琉を、神無月は複雑な表情で見つめた。 「…それも<視>えたの?」 「何でもかんでも<視>えるワケじゃないよ。雛の場合、<視>なくても分かるだろう? あの態度で」 「まっまあね。あのコは自分の能力に何のコンプレックスも持ってないから」 「けどそれは天性のものだと思うよ。彼女は人間として感情がある程度、欠落しているだろ?」 不意に声を落とし、依琉は真剣な表情になった。 「だから能力のことも何とも思わない…いや、思えない。感情も持てないものには、興味も持てないのと一緒さ」 「でも…感情の欠落は育ち方によるんじゃないの?」 「そうでもないよ。だって雛は元々生まれついてのお嬢様だ。何の不自由もなく、そして愛されて生きてきた。なのに感情の欠落がある。―それは残念ながら、彼女がそういう存在として生まれてしまったということだよ」 「…それは能力に関係無く?」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |