《MUMEI》
―11―
「まっ、それは置いといて」

一早く榊は立ち直り、イスに座りなおした。

「学院長達からはいつものように、言われている。『失敗は許されない』とね」

「ハッ…」

依琉はバカにしたように笑い飛ばした。

「よく言いますね。ボク等がいなければ、今日の状況を何にもできないクセに」

「やめなさいよ、依琉。…言っても仕方無いことでしょう?」

「そうだよ。それを分かっていて、キミはここに入学したんだろう? 文句は言いっこ無しだよ」

神無月と榊に厳しく言われ、依琉は口を噤んだ。

「まっまあまあ! それはともかくぅ、今日さえ乗り越えれば、後は部活動は無いんだから、ねっ!」

「そっそうですよ。今夜一晩の辛抱じゃないですか、依琉先輩。耐えましょうよ」

「…雛と九曜くんに言われるとは、ね。分かってるよ。もう文句は言わない」

諦めた顔で、依琉は両手を上げた。

榊はため息をつき、部員達の顔を見回した。

「キミ達が渋るのもよく分かる。学院はキミ達の力を利用しているに過ぎないからね。でも今日の活動をしなければ、力の無い生徒達が被害に合ってしまうんだ。それを防ぐ為の部の活動―どうか了承してほしい」

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