《MUMEI》 私たちは夜の海で、何回もキスを繰り返した。 ずっと健太に抱きしめられてたから、ドキドキが止まらなくて。 帰りたくなかった。 このまま、健太と居たいって思った。 …だけど大みそかくらいは家族と過ごさなきゃ。 年を越せば、また直ぐに会えるから。 健太は意外と、来た道を覚えてたみたいで、迷うことなく私の家に着いた。 着いたのは22時くらい。 もっと遅いかと思ってたのに、意外とまだ22時だったんだ…。 「…健太…」 「何だよ、愛香!寂しいのかよ〜!年越せば直ぐ会えるじゃん♪」 「……別に寂しくないわ!自意識過剰野郎!」 「素直じゃねぇなあ!ま、そんなとこが可愛いんだけど♪じゃあな♪」 健太の笑顔のが、よっぽど可愛いよ。 …なんて、口が裂けても言えない。 優しく一回だけキスして、健太は行ってしまった。 …また行きたいな…。 今度は海が綺麗に見える時間帯に。 前へ |次へ |
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