《MUMEI》 空白の時間齋木 彩矢(サイキ アヤ)21歳。 大学に通いながら、飲食店でアルバイトをし、一人暮らしをしていた。 昔から憧れていた一人暮らし。 それなりに大変なこともあったが親からの仕送りもあり、バイト先やサークルの先輩にも可愛がられ、新しい友人もでき、充実した日々を送っていた。 だが、ある時から彩矢の記憶に、空白ができた。 なにが起こったのか、自分でも全く思い出せない。 ただ、気付くと実家にいた。 「彩矢?ご飯置いておくから…ちゃんと食べてね?」 部屋の外から、母親の心配そうな声がした。 けど彩矢は何も応えず、閉めきられたカーテンの隙間から射し込む光を、ただボーッと眺めていた。 次へ |
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