《MUMEI》
新境地3
霧島の迫力に声が出ない。
痺れを切らした霧島が平手打ちをし、彩矢はベッドに倒れ込んだ。

あまりにも突然の出来事に困惑していると、今度は胸ぐらを掴まれ霧島の顔の近くに、引き寄せられた。

「みんな家族だから、なんて言葉本気にすんなよ?おまえらみたいな異常者と家族だなんて…」

霧島の目は最初に見たときよりも、冷酷で恐ろしい目に感じた。

「怖いか?」

恐怖で震える彩矢を見て、霧島が小さく笑った。

「おまえらみたいな異常者は、俺からしたらペットだ…おまえみたいな奴はペット以下の玩具だけどな」

霧島の言葉に、彩矢の目から涙が零れた。

「いいか?ここでは俺がルールだ、俺に逆らうな」

「……」

「返事」

「……」

「そうか、おまえ声出せないんだったな…わかった、返事はしなくていい、その方が玩具らしいしな」

そう言って笑うと、霧島は「ついて来い」と言った。

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