《MUMEI》 ーーー…… 「Happy New Year!」 テレビからちょっと声の高いお姉さんの声がした。 年が明けた瞬間、携帯のメール受信BOXはたくさんの人の名前で埋められていく。 直ぐ隣にいるお姉ちゃんはメールが送れないのか、また今年もイライラしていた。 …私は送れないのわかっててピッタリになんて送らないからね。 大体、夜中あたりの中途半端な時間に送る。 それに、ピッタリに送るなんて器用なこと、私には出来ません。 「…愛香、何であんたはそんな余裕そうな感じで携帯画面見てられるわけ!?」 「だーから、毎年言ってんじゃんよ。私はピッタリに送れないの分かってて、送ろうとするような馬鹿じゃないの」 「むっかつく〜!」 あんたのが年上なんだから、それくらい分かるでしょ。 …なんて言ったら本気でキレそうだったから、それは言わないでおいた。 前へ |次へ |
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