《MUMEI》

「…やはり朽ちている。年々、朽ち方が酷くなっているな」

榊は低い声で呟き、ため息をついた。

コレが光輪学院の『封印』だった。

高等部は他の幼等部から大学院の校舎に囲まれる形で建てられた。

それはこの学院の創立者が、一つの『未来』を知っていたからこその、この建て方だった。

「…ボクとは違い、『未来』を<視>る力、か」
 
依琉は細い声で言った。

創立者が自分達と同じく、特殊能力の持ち主であったことを、学院長から聞いていた。

その人は『未来』を<視>る力を持っていた。

「だからこその『封話部』か…」

神無月は諦めたように肩を竦めた。

創立者は一つの『未来』を知った。

この土地が、力を持っていることを。そしてここにつくられた建物には、異様な力が集まってしまうことを。

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