《MUMEI》

その男は、美しい容姿をしていた。

…が、性格にとても問題があった。

「僕、汚いの嫌いなんだよね」

極度の潔癖性で、汚い物が大嫌い。

通っている高校も、彼のせいと言うかおかげで、ピカピカに掃除されている。

掃除しているのは主に、彼のファンの女の子達。

男子生徒達は当初、反発するのと同時に彼にケンカを売って、物の見事に玉砕していった…。

彼はでも、女子生徒達も近づくのを嫌う。

どんなに可愛く、キレイな女の子でも、側に近寄らせない。

―はず、だった。

わたしはと言えば、彼には近寄らないタイプの生徒だった。

君子危うきに近寄らずとは、彼の為にある言葉だと思った。

なので触らぬ神に祟りなしとばかりに、遠くから見るだけだった。

しかしある日の放課後。

図書室に本を返しに行った後、帰りのバスの時間がせまっていた。

人気の無い放課後だったので、わたしはつい階段を駆け下りた。

「ホントはダメなんだけど…」

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