《MUMEI》 1その男は、美しい容姿をしていた。 …が、性格にとても問題があった。 「僕、汚いの嫌いなんだよね」 極度の潔癖性で、汚い物が大嫌い。 通っている高校も、彼のせいと言うかおかげで、ピカピカに掃除されている。 掃除しているのは主に、彼のファンの女の子達。 男子生徒達は当初、反発するのと同時に彼にケンカを売って、物の見事に玉砕していった…。 彼はでも、女子生徒達も近づくのを嫌う。 どんなに可愛く、キレイな女の子でも、側に近寄らせない。 ―はず、だった。 わたしはと言えば、彼には近寄らないタイプの生徒だった。 君子危うきに近寄らずとは、彼の為にある言葉だと思った。 なので触らぬ神に祟りなしとばかりに、遠くから見るだけだった。 しかしある日の放課後。 図書室に本を返しに行った後、帰りのバスの時間がせまっていた。 人気の無い放課後だったので、わたしはつい階段を駆け下りた。 「ホントはダメなんだけど…」 次へ |
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