《MUMEI》

…それをわたしに言われても…答えようがない。

「あっあの、受け止めてくれて本当にありがとう。その…そろそろ開放してほしいんだけど」

未だわたしの体は彼の腕の中。

だけど彼は逆に、わたしをぎゅぅっと抱き締めてきた。

「きゃああっ!」

「少し黙って」

「はっはい…」

言われた通りに黙っていると、彼の手がわたしの体に触れる。

首筋や頬に、彼の唇の感触が触れるたびに、声を上げそうになるのを歯を食いしばって耐えた。

「…やっぱり大丈夫みたいだ。何でだろう?」

彼の両手が、わたしの頬を包み込む。

そして自然な流れで―わたしにキスをする。

「うん、キスも平気みたいだ」

…と言われても、わたしは石像のように固まってしまっていた。

「匂いも感触も悪くない。よし、キミ。明日から…いや、今日から僕の傍にいなよ」

「へっ…? ええっ!?」

その時の声は、校舎中に響き渡ったと言う…。

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