《MUMEI》 4そして彼は本当に、傍にいるようにしてきた。 と言うより、わたしに近付いて、抱き着いてくる。 それを周囲の生徒達が見て、驚きと悲鳴の絶叫を上げていた。 …主に女子生徒達が。 わたしはと言えば、彼に振り回されっぱなし。 イヤがっても彼の拘束力は強く、またそれ以上に女子生徒たちの視線が強かった…。 別のクラスなのに、休み時間になるとくっついてくる。 人がいない場所に移動すれば、キスをしてくる。 それを繰り返す日々を送っているうちに、だんだんと慣れてきてしまった自分が怖い。 「キミってさ、キス、ヘタだよね」 …しかし彼は正直者だった。 「何度キスしても、慣れないし」 そう言って人のいない階段の踊り場で、またもキスしてくる。 「んっ…ふぅっ」 「まあそういう慣れない顔見るの、結構好きだから良いけどね」 にやっと笑い、弾むように唇を合わせてくる。 「はっ…! だっだったら、他のもっと可愛いコとか、キレイなコにすれば良いんじゃないの?」 前へ |次へ |
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