《MUMEI》

そして彼は本当に、傍にいるようにしてきた。

と言うより、わたしに近付いて、抱き着いてくる。

それを周囲の生徒達が見て、驚きと悲鳴の絶叫を上げていた。

…主に女子生徒達が。

わたしはと言えば、彼に振り回されっぱなし。

イヤがっても彼の拘束力は強く、またそれ以上に女子生徒たちの視線が強かった…。

別のクラスなのに、休み時間になるとくっついてくる。

人がいない場所に移動すれば、キスをしてくる。

それを繰り返す日々を送っているうちに、だんだんと慣れてきてしまった自分が怖い。

「キミってさ、キス、ヘタだよね」

…しかし彼は正直者だった。

「何度キスしても、慣れないし」

そう言って人のいない階段の踊り場で、またもキスしてくる。

「んっ…ふぅっ」

「まあそういう慣れない顔見るの、結構好きだから良いけどね」

にやっと笑い、弾むように唇を合わせてくる。

「はっ…! だっだったら、他のもっと可愛いコとか、キレイなコにすれば良いんじゃないの?」

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