《MUMEI》

度胸が必要…?一体何のことだろうか.

「度胸って…?」

「あの二人の子供だから大丈夫だろうがの…聞く勇気はあるだろうが.」

案内使は静かにそういった.

「「カラン…」」

いらっしゃいませと店員の、声が聞こえる.
外見とは違い、中はいたって普通だった.

「ここのどこが…?」

樹紀がそういったが、案内使は何も言わずに奥の席を指でさした.
さした席は、周りの席と別に変らず変なとこはなかった.
席についてからは、案内使は喋らなかった.

「なんなの…ここ.」

そういうと、案内使は初めて喋った.

「誰も、あの店が度胸がいるなど言っておらん.」

「は…――?」

「ここはダダのカフェ.しかけなどなにもない、度胸がいるのはこの話を聞く度胸だ.」

なんだ…、なんもないのか.

「それぐらいの度胸はあるよ.子供じゃあるまいし.」

「子供だろ.ま、お前には大丈夫だろう.」

「そのはなしって、お父さんお母さんのこと?」

そういうと、案内使はフッと微笑んだ.

「まぁ、そんなもんだ.」

聞きたくないけど、聞かなければならない…そんな思いが胸の奥底から
込み上げてきた.

「では、話そう….」

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