《MUMEI》

「愛香もその気なんだろ♪な♪」

「…もう、ほんとに馬鹿…」


簡単にキスされて。

簡単に押し倒されて。

簡単に…離れられなくしてしまう。

こいつはズルイ。


「健太ってば…」

「愛香が可愛いのが悪い。声出したら隣に聞こえちゃうかもな〜?」

「…意地悪っ」


健太が触れる度、自然と声が漏れてしまう。

健太が触れる度、ドキドキがはやくなって。

健太が触れる度、もっとって求めてしまうんだ。


目が合えば、照れ笑いして唇を重ねる。

健太とのキスが、心地良すぎて、変な感覚に陥る。

…私、健太の虜じゃん。

私のが健太を好きなんじゃないかってくらい。


最初はあんなにウザがってたのに。

梨華子の言う通り、ほっとけなかったの?

ダルくてウザくて、面倒で馬鹿で。

健太より私のが…馬鹿で単純だったりして。

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