《MUMEI》 みんな2英里の言った通り、食堂の場所はすぐにわかった。 大きな扉をゆっくり開いて、隙間から中を伺うと、男と目が合った。 驚いた彩矢は急いで扉を閉めたが、閉めた扉は勢いよく開かれた。 「新人はっけ〜ん!」 そこには今、目が合った男が笑顔で立っていた。 「ははっ、すげー顔強ばってんじゃん」 赤い髪をしたその男、森村 清人(モリムラ キヨト)は戸惑う彩矢を見て、ピアスの付いた口を大きく開けて笑った。 「…アンタ俺みたいな人種受け付けない人だ?」 すっかり黙り込んで俯いてしまった彩矢に構わず、清人は喋り続ける。 「え〜、まじショックなんだけど。せっかく待望の女の子授かったのに〜!仲良くしようよ、ねっ?」 逃げ出しちゃおうか、逃げ出して部屋に閉じ籠っちゃおうか…と、彩矢は思った。 だが、霧島の部屋で逃げようとしたときのことが、脳裏を過り、動けずにいた。 「なんなら俺と今から二人きりになる?」 「おまえなにやってんだよ」 笑う清人の後ろから、声がして彩矢は、顔を上げた。 「おかしなことばっか言って…新人が難しいの知ってんだろ」 へらへらと笑う清人を、呆れたように笑ってから桜井 涼介(サクライ リョウスケ)は、彩矢を見た。 そして微笑むと、 「とりあえず中入ったら?」 と言った。 前へ |次へ |
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