《MUMEI》 "やっぱり知らないの!?"と言ってため息をつく亜希。 …亜希が何でも知りすぎてんでしょ。 どこから情報収集をしてくるんだか…。 「アイツっていうのは、矢島 拓也だよ!や・し・ま・た・く・や!」 ヤシマタクヤ? …初めて聞いた、そんな名前。 そんな奴いたんだ。 「…知らん。で、何で気をつけろなの?」 「アイツ、出席番号順で愛香の前じゃん!席も多分前後!赤茶の髪に金色のメッシュ入れてる、イケメンだから直ぐ分かるよ! …で、その矢島拓也っつー奴はね…」 「おい、始業式始まるから行くぞー」 亜希が一段と深刻そうな顔をした時、健太が遠くで私たちを呼んだ。 "タイミング悪っ!"と舌打ちする亜希。 「まあ、いずれってか…気をつけなきゃいけない理由は直ぐに分かるよ!」 …そんなこと言われてもな…。 腕を引っ張られ、体育館へと急ぐ私たち。 矢島拓也って…何者なんだろ。 前へ |次へ |
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