《MUMEI》

「離してよ!誤解されんじゃんっ!」


すると、矢島は意外と素直に私から離れた。

そして私の前の席に座る。

…赤茶に金色のメッシュ…。

あとイケメンとかなんとか言ってたっけ。

…確かに綺麗な顔立ち。


「あ、あと俺の隣の百合は中学からの連れだからさ。いい奴だよ。3人で仲良くしような」


…何だ、この怪しげな笑み。

健太の何かくだらないことを考えてる時の笑い方とは…ちょっと違う。

…いや、だいぶ違う。

てか…さっき"愛しの愛香ちゃん"とかなんとか…。


「あんまりベタベタしないで…。私には健太がいるんだし…」

「…ふーん。あんな馬鹿のどこがいいかね」


そんなこと言われてもな…。

そんなのわからないけど…。

てか、こいつ一体何を考えてるわけ…?

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