《MUMEI》

私は、この林檎をリュークの元に届けなくてはならない――…。



ドラミちゃんに話した設定では、この林檎は私の友達の大好物ということになっている。



そして、その友達……リュークには、この林檎を私の自宅ではなくスネオさんの家の地下室で渡す手筈になっていたの。



もし私がドラミちゃんと一緒に林檎を自宅に持ち帰れば、きっとママは『なんなの!?この林檎は!?』と驚くに違いないわ。



だとしたら、私の家に居る筈の“友達”の存在と照らし合わせると、ドラミちゃんに説明した話と辻妻が合わなくなる――…!



しずか「ううん……大丈夫!


…このくらい平気よ!」



私は、その事態が計画の綻びに繋がりかねないと察するや、ドラミちゃんの申し出を強い口調で断っていたの――…。

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