《MUMEI》 4校庭から生えている手は、<言霊>の力が続いているうちには届かないし、触れない。 しかし消えればそうもいかない。 校庭を埋め尽くす手、手、手―。 まるで赤ん坊のように小さな手から、年寄りのような手まで、さまざまな手が自分を引きずり込もうとしている。 そう考えただけで、体中からイヤな汗が出る。 本当は泣き叫びたかった。逃げ出したかった。 怖くて、辛くて―でも逃げたくも無い。 他の四人も同じように頑張っている。 特に自分は他の四人よりも、対抗手段を持っているだけマシなのだ。 「だからっ…泣いてるヒマなんかないのよっ!」 涙目になりながらも、校庭を走る。 レンズには強い気を感知する力を込めた。 実際、惹かれている。 実体に。 前へ |次へ |
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