《MUMEI》 1「寄るな、触るな、近づくなぁあ!」 「お前、いい加減に諦めろ」 ぐいっと手を引かれ、無理やりキスされる。 「んむぅっ!?」 けれど力の限りヤツの胸を押して、離れる。 「わっ私はまだ納得していなんだっ! 借金のカタに嫁入りなんて、今時ふざけている!」 「ふざけているのはオレの家から多額の借金をしたクセに、返せなくて娘を差し出してきたお前の両親だろう?」 「ぐっ…」 それは…否定できない。 「しかもまだ高校生。入籍は済ませたとして、式は卒業後。お前が今まだ学校に通えるのも、家族が平穏無事に過ごせるのも誰のおかげだ?」 ヤツは得意げににんまり笑う。 …クッソー。 あのバカ親め。未来永劫恨んでやるっ! ウチの家はそもそも、町工場を営んでいた。 けれど世の不況のあおりをモロに受けて、あっと言う間に仕事も金もなくなった。 やがて親はヤバイ所から金を借りるようになり、…お決まりの転落コースを行った。 次へ |
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