《MUMEI》 3嫌悪感を隠そうともしないわたしを見て、アイツはクックっとおかしそうに笑う。 「そういう物言いも良い。オレは知っての通り、普通の仕事をしていない。だからキモの座った女が良いんだ」 「…私は良くない」 「だが諦めろ。お前の家の借金をチャラにした上に、これからの仕事はオレから回すことになったんだ」 …コイツ、どんな人脈を持っているんだ? 確かに言った通り、借金は全て帳消し。 しかも工場には仕事が舞い込んできた。 おかげで今はフル活動しているみたいだけど…。 「う〜」 枕を抱え込み、唸る。 確かに工場が潰れなかったおかげで、助かった従業員達は良いだろう。 問題はあのバカ親とコイツ。 最初見た時から、何か気に食わなかった。 強引で、自分勝手。 私は…結婚するなら、穏やかで優しい男の人が良かったのに…。 「お前だって、最終的にはオレを受け入れたんだ。だから諦めろ」 そう言って私の肩を掴んで引き寄せ、再び唇を奪ってくる。 前へ |次へ |
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