《MUMEI》

「今はまだ、それで良い。だが高校を卒業したら、な?」

イヤらしい目で私を見やがって…。

「とりあえず、オレに愛されることに慣れろ。そうでなければ話にならない」

「う〜う〜う〜」

私は唸りながら、アイツの首筋に顔を埋める。

はっきりと否定したいのに、できないのが悔しい。

「ふっ…。お前は本当に可愛いな」

野性味の溢れた目で見つめられると、そらせない。

今度のキスは、よけなかった。

「安心しろ。大事にしてやる。それにお前の欲しい物は何でも与えてやる」

「う〜…」

「そしてオレを愛せ。まっ、オレに夢中にさせることぐらい、簡単だがな」

やっぱり自意識過剰だ。

「…私はそんなに簡単にはいかないぞ?」

言葉とは裏腹に、声に力はない。

「その方が楽しめて良い。お前となら、死ぬまで退屈せずに済みそうだ」

「強引な男め」

「褒め言葉と受け取っておくさ」

そしてまた、熱いキスをしてくる。

そう―身も心もとろけてしまうぐらいの、熱くて甘いキスを…。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫