《MUMEI》 友達のフリその日の夜は眠れなかった。 陽菜の言ってた通りになったら、と思ったら涙が出てきた。 嫌だよ…。 僕は陽菜以外の人と仲良くなんて、したくない。 陽菜以外の人なんて…… 次の日、陽菜は佐野さんと仲良さそうに話をしていた。 昨日の陽菜からは、とても想像できないような笑顔で…。 「あっ、眞季ちゃん!」 僕を見つけた佐野さんが、手を振った。 仕方なく僕も、それに応える。 「眞季ちゃんもおいでよ」 佐野さんに言われ僕は、陽菜と佐野さんの元へ行った。 「眞季ちゃんの信用できる友達って、今森さんだったんだね」 「う、うん…そう」 「すごいなぁ…今森さんって先輩たちにも人気あんだよ」 佐野さんの話を聞きながら、陽菜の方を見た。 陽菜は不敵な笑みを浮かべて、僕を見ている。 佐野さんは、それに気付かず話を続けた。 「入学式のときにね、すごい可愛い子がいるって、みんな騒いでて…。今じゃ有名人なんだから」 「うん…陽菜は昔から人気あったからね」 「やっぱりそうなんだ!ってゆうか、二人とも昔からの友達なんだ!すごいよね!二人組の美女なんて〜!芸能界とか入っちゃえばいいのに」 その言葉に陽菜が、クスクスと笑う。 「幼馴染みだから」 僕は答えた。 「そうなんだぁ!なんか眞季ちゃんの言ってたまんまだね…信用できる友達ってやつ。信用できなきゃそんなに長く付き合えないもんね、いいなぁ…」 佐野さんは今までとは別人みたいに、よくしゃべった。 女の子はおしゃべり好きだって言うから、当たり前のことかも知れないけど……。 そんな佐野さんの性格も手伝ってか、僕ら三人はすぐに仲良くなった。 正確には仲良くなったっていうより、陽菜が仲良くなったフリをしてるだけだけど…。 陽菜は佐野さんが、僕が女だと信じ切っている発言をすると、クスクス笑ってたけど僕と陽菜の関係が特別だとか言われると、不機嫌そうな顔をしていて、僕はそれがたまらなく寂しかった。 それから暫くして、陽菜の計画は実行された。 前へ |次へ |
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