《MUMEI》
レプリカ
「・・・素直に死ねば痛みなど無かったのに。」
杭を引き抜き、床に叩きつけるように投げる。
「強がった所でどうせマトモに体は動かないだろう、抵抗しなければすぐ楽にしてやるよ。」
構えるジュレイド。
対峙するエミの右腹部は抉れ、血が僧服を彩る。
「ふぅ・・いい感じに血が抜けた。」
カチャリ。
両手に新たな魔導銃を携え、ゆっくりと構える、苦痛など無いかのように動きに澱みがない。
ガンガンガンガン!
「何発当てたところで俺には効かかねぇよ。」
エミが放った弾丸を避けようともせず、平然と受け止める。
「・・・・だから?」
いつの間に間合いを詰めたのか、ジュレイドに向かって高速の蹴りが叩き込まれる。
ガィィン・・
「効かねぇって言ってるだろ?」
顔面に直撃した蹴りを無視して会話を続けるジュレイド。
ガンガン!
零距離で眼に向かって銃弾を叩き込み数歩後退、さらに魔導銃を撃つ。
銃弾に付加された魔力が爆発を起こし炎がジュレイドの顔を覆う。
「・・・いい加減気がつけよ、俺はコーリア教の神殿で改造されてる。人体実験ってやつだ。その結果、俺の皮膚組織は強い衝撃を受ければオートで防御結界が展開されるようになったって訳だ、アンタの銃じゃ俺の結界を突破することはできねぇし、魔力切れで結界が消えることさえ無い。お前の打つ手は無いんだよ。」
呆れたように炎に巻かれながら語るジュレイド。
「・・・仕方ない。」
両手の魔導銃を投げ捨て、漆黒のリボルバータイプの魔導銃を一丁取り出す。
ガン!
一発目の銃弾が放たれる。
キン・・
今まで避ける素振りも見せなかったジュレイドが銃弾をガントレットで叩き落す。
地面に着弾した銃弾は魔力を解き放つことなく、床に転がる。
ピシ・・
「・・・魔力すら纏わない通常弾でナニをするつもりだ?」
転がった銃弾に視線を向けエミに問いかけるジュレイド。
「・・・」
何も答えず、静かに佇むエミ。
「もういい・・死ねよ!」
ピシピシ・・
一気に加速、エミに殴りかかる。
ガン!
もう一発銃弾が放たれる。
バシュウウウ・・
「な!!」
ガン!
驚愕の表情を浮かべるジュレイドにさらに襲い掛かる銃弾。
大きく後退しながらガントレットで叩き落し、自分の右肩に手をやる。
ビキ・・
「馬鹿な・・ナニをした。」
突撃してきたジュレイドに対し、エミは漆黒のリボルバーで応戦。
ただの通常弾だったはず。魔力の波動も感じられず飛翔速度も通常弾と変わらない。
意味なしと判断して突撃したジュレイドの右肩は着弾と同時に散り飛び、大きく抉れている。
「・・「ブラッドバレル・レプリカ」。生者を滅すコトのみに特化した魔銃、「ブラッドバレル」を真似て練成されたモノ。着弾と同時に対象内部の液体を気化させ、内側から散り飛ぶ。ヒトに当たれば・・紅い血の華が咲く。今のように・・」
静かにゆっくりとジュレイドに向かって歩きながら言葉を続ける。

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