《MUMEI》
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しかし本体の両目はレンズに合わせられたまま、ずらせない。

本体は地面から完全に剥がれ、そのままレンズに引きずり込まれた。

「うっ!」

倒れ込みそうになるのを、神無月は踏ん張った。

ここで倒れるわけにもいかない。

本体が全て吸い込まれた後、神無月はその場に座り込んだ。

もう校庭には手は無い。

静かな、いつもの校庭だ。

神無月は震える手でレンズを一枚外した。

白いレンズには本体の顔が映っている。

「こっこの封印の方法は、何とかならないのかしら…」

ぐったりした顔で、神無月は制服のポケットからカードファイルを取り出し、そこにレンズを入れた。

「これで私のは終わり。早く九曜の所に行かなゃ…」

ふらつく体を何とか立ち上げ、神無月は歩き出した。

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