《MUMEI》 1わたしが彼と何かをする時、いつもわたしの方から言い出す。 「ねぇ、キスして」 「ああ」 彼は優しくわたしを抱き締めて、ゆっくりと甘いキスをしてくれる。 「んっ…。次はぎゅっと抱き締めて」 「分かった」 そしてわたしが言った通り、ぎゅっと抱き締めてくれる。 するとわたしの心の中は、春のようにポカポカとあたたかくなる。 それはわたしが彼を好きな、何よりの証拠。 だけど…彼の心が分からない。 高校に入学してすぐ、わたしと彼は学級委員長に選ばれた。 理由はお互い、良い成績で入学したからだ。 でもその時は特に意識なんてしていなかった。 けれど一緒に過ごしているうちに、もっと一緒にいたいと思った。 だから二年に上がる前、つまり学級委員長を終わる前に、彼にわたしから告白した。 「あの、ね。わたし、貴方のことが好きなの。恋人になってくれる?」 …今思い出しても恥ずかしい。 次へ |
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