《MUMEI》

委員長の仕事があるからと、誰もいない放課後の教室に彼と残っている時に告げた。

彼はあまり動じない性格で、表情もあまりその…変わらない。

「―いいよ。恋人になろう」

と、返事も無表情で、全く動じず答えてくれた。

それからと言うもの、一緒にお昼を食べたり帰ったり、または放課後や休日にどこか出掛けるのも、わたしから言い出す。

電話やメールだって、わたしからしなきゃ彼はしてくれない。

二年に上がった今も、わたしと彼は同じクラスで、そして学級委員長をしていた。

なので時々、誰もいない教室でこっそりキスをせがんだりする。

理由は彼が少しでも困ったり、照れたりしたところを見たいから。

…けれど相変わらず淡々と、わたしの言うことを聞いてくれた。

何だか肩透かしも良いところだなぁ。

けれどこうやって抱き締めてもらっていると、胸がきゅんきゅんしてくる。

一緒にいるのに、どこか切ない気持ちは、彼にしか感じられない特別な感情。

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