《MUMEI》 3だからわたしは彼が好き。 けど彼は…本当にわたしが好きなんだろうか? いつも冷静で、感情を取り乱したりしない。 どこへ行っても、何をしても、感情や表情が動いているのはわたしだけの気がする。 なので顔を上げ、至近距離で彼の眼を見つめる。 「ねぇ、わたしのこと、本当に好き?」 「好きだよ」 …やっぱり淡々と返された。 「それは…ちゃんと恋人としての、好き?」 「じゃなきゃ、恋人にならない」 ごもっとも。 おかしなことを言っているのは、絶対にわたしの方だって分かっているのに…。 「どうした? 何か不安なのか?」 「う〜ん。…いや、わたしの方がおかしいのよ。幸せすぎて、不安っていう感じ?」 そうだ。コレは幸せ過ぎるから、感じてしまうこと。 だって彼はわたし一筋だし、周囲の人だって祝福してくれる。 大事にされていることだって分かるんだけど…。 「ねっ、ねぇ。イヤなことはイヤって言ってよ?」 前へ |次へ |
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