《MUMEI》

かなりめんどくさいことになってるんだけど…。

だから矢島には来てほしくなかったのに。

ほんとに最悪…。


「とにかくお前は愛香に近付くなよ!俺という彼氏がいんの知ってんだろ!」

「はあ?…それは今の話だろ?それに愛香ちゃん、お前みたいな奴にキュンときたなら、俺みたいな奴にもキュンときちゃうかも。同じようなタイプじゃん?」


一瞬、ドキッとした。

何でか分からないけど。

健太がチラッとこっちを見た気がしたけど、何故か目を合わせることが出来なかった。


休み時間の終了を告げるチャイムが鳴る。

私は健太には何も言わず教室へと向かう。


…何だろ、このモヤモヤ。

意味分からない。


「…もしかして、図星?」


図星?

それって、私が矢島にキュンとするってこと?

してるってこと?

…有り得ない。

コイツ…うざったい…し…。


あれ?

私、最初、健太のことうざったいって…。

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