《MUMEI》

「ウザいんだろ?めんどくさいんだろ?俺のこと。
矢崎んときも、そう思ってたんだろ?」


何で?

何でコイツは…こんなに私の中を掻き乱すんだろう。

やめてほしい。

私は健太が好きなのに…分からなくなる。

私は健太が好きで…健太とずっと一緒にいたくて…。


「愛香ちゃん、俺のことほっとけなくなるよ、きっと」

「そんなことない…」

「ふーん。…何か愛香ちゃんの唇、簡単に奪えそうだわ♪」


誰もいない階段で、矢島は後ろから抱き着いてきた。

だけど、私は抵抗どころか何も言えなくて。

…何なの、私…。

おかしいよ、自分…。


「…ほんとに…可愛いね、愛香ちゃんて。興奮するわ」



ほんとに、とんでもない高2生活になる予感がした。


去年に戻りたい。

そしたら、健太がいるのに。

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