《MUMEI》

「冗談言うのやめてくれないかな。私、健太と別れる気は全くないけど」

「めんどくさっ」


あんたのがよっぽど、めんどくさいわ。


「私、健太先輩と絶対付き合いたいんです!だから、愛香先輩かなり邪魔!愛香先輩、別れる気ないなら、私、健太先輩のこと全力で奪いますから!」


私のことを、鋭い目つきで睨み、図書室から出ていく安倍莉奈。

めんどくさいことになったな、また…。

矢島のことだけで精一杯なのに…。


あの感じだと、本気なんだな、健太のこと。

健太が簡単にフラッと、あっちに気が変わるとは思わないけど油断は出来ないかも。


…高2になった瞬間、何でいきなりこんな…。

私と健太は…付き合っちゃいけないってこと?


やっぱり、健太に先帰ってもらうんじゃなかった。

不安で仕方ない。

"俺は愛香から離れたりなんかしないよ"


そう言って、抱きしめてほしかった。

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