《MUMEI》

紘と秋葉は十字路にさしかかると、今宵達に声をかける。

「じゃあオレらこっちだから!!」

「何でだか方向が一緒なのよね・・・・・・」

「まぁいいじゃん!!またな!!」

紘は大きく、秋葉は軽く手を振ると、角を右へ曲がった。

「バイバーイ!!」

今宵も大きく手を振り返し、歩雪は小さく手を挙げて見送った。

「琴吹くんと秋葉、すごく仲良くなったよね!!」

「紘が煩すぎて秋葉も諦めたんじゃない?オレもだけど」

「酷いね〜それ!!」

「ほら帰るよ」

歩雪が今宵の背中を押して方向転換させて歩き出した。

ホントは歩雪くんも、秋葉も琴吹くんのこと大好きなくせに!!

今宵は1人でクスッと小さく笑う。

「こー」

「何?」

「今年も、そろそろだね」

「・・・・・・うん」

歩雪くん、覚えてくれてたんだ。

私の大事な場所。

今宵はそのことに嬉しくなり、顔を綻ばせた。

歩雪もその顔を見て口元を緩める。

2人はしばらく無言で歩き続け、自分達の家までたどり着いた。

「じゃあね。まぁまたこーの家に行かせてもらうと思うけど」

「うん!!じゃあ遊びにきてね!!」

今宵が満面の笑みを浮かべると、歩雪は口元を緩めて家に歩き出す。

歩雪が家に入る姿を見送り、今宵も家に入った。

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