《MUMEI》

しずか「スネオさん……元気だして…。私がついてるわ…。


…林檎を切らさないよう協力するから…。


それに……お母さん達だって、きっと元に戻るわよ。」



私は、いい加減な慰めを言ってスネオさんをなだめてあげた。



そして、買ってきた林檎をクーラーボックスに納めはじめたの…。



やがてスネオさんは、無言のままポケットから一万円札を取り出すと、それを私に差し出したの。



それは、スネオさんが私に託して買わせた林檎の代金だった。



――…悪いわね?(笑)……八百屋のご主人のサービス品なのに…。(笑)



地下室の暗がりの中、私はそんな嘲笑を湛えて一万円札を受け取ったのよ――…。

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