《MUMEI》

「健太って自意識過剰だね…」

「えー?いいじゃん、別に」


ほんとに…この拗ねた顔は反則だ。

誰にも見せたくないとか思ってる私。

それだけ健太のことが好きってことなんだよね。


…安倍莉奈は…私より健太を知ってるんだ。

中学一緒だったってことは。

中学のときの健太を、私は知らない。

性格はきっと変わらないんだろうけど…。

そう思うと何か悔しい。


思わず、健太の手を強く握ってしまった。


「愛香っ?」

「…何にも言わないで」

「…やっぱ嫉妬してんじゃん♪」


そう言って、健太は優しく唇を重ねた。


嫉妬…しないわけない。

私は…健太の彼女なんだから。

健太のこと好きなんだから。

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