《MUMEI》

どういうこと…?え?

目が離せなかった。

二人は楽しそうに話していたから。

…てか、二人とも近すぎじゃない?

何で?

何であんな楽しそうに話してるの?

"俺は愛香だけだから"

健太のその言葉が頭の中でぐるぐる回る。


「…行くぞ」


そう言い、拓也は私を引っ張った。

自販の方には行かずに、教室の方へ戻っていく。


…ありがとう、拓也。

これは拓也なりの優しさなんだよね。

自販がある場所は、体育館裏からもバッチリ見える。


「…拓也…」

「今何か言ったら、お前多分泣くんじゃない?…って、もう泣いてんじゃん」


胸が締め付けられた。

気付くと、私は拓也に抱き着いていて…。

拓也は何も言わずに私のことを抱きしめてくれて。



…どうして?意味分からない。


…健太…どういうこと……?

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