《MUMEI》
▽
「こりゃ〜なんなんだ…」
「ん?なにがあ?」
自慢の!自慢の鏡に囲まれた風呂が…
「…何をした」
「だから牛乳風呂にして〜、蜂蜜入れたの」
バンバンバンッ!
「違うッッ!!この汚れ方は一体なんなんでしょうかあッ!」
俺は牛乳で汚れまくった鏡を叩いた。
「あ〜!フフッ!風呂広いからバタ足バシャバシャしたのっ!ね〜?バタ足する俺可愛いよ?見る?」
―――鏡全面、牛乳の白い筋だらけ…。
しかも空の牛乳パックと蜂蜜の容器が床に置きっぱなし。
――よくみりゃー、蜂蜜があちこち床に垂れている…。
「…」
「バッシャバシャしよ〜っ!」
裕斗は汚れた身体のまま浴槽に勢いよくジャポンッと入り…
「温くなっちゃったや、ちょっと追い炊きい〜」
「なっ!コラッ!」
俺は裕斗がスイッチを押す寸前で裕斗の手首を掴んだ。
「馬鹿っ!風呂窯壊れるッ!追い炊きじゃねーで熱い湯だしやがれッ!」
俺はそう言いながら蛇口を捻り熱い湯を出しだした。
「もう秀幸は神経質なんだから」
「…はあ…」
「じゃあリクエストにお答えしてゆうちゃんのバシャバシャを…」
「するなっ!せんでいいッ!ド阿呆ッ!」
その後二人で風呂場を掃除しまくった。
それにしても牛乳の汚れは意外に頑固で…
本日は伊藤家に家訓が二つ誕生しました。
その1
牛乳風呂はやらない。
その2
浴槽でバシャバシャ暴れない…。
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