《MUMEI》

―キーンコーンカーンコーン。


終礼のチャイムが鳴り、今日も一日が終わる。



教室の窓越しに放課後の夕焼け空を見つめるのが


あたし、紗稀(さき)の日課。



―この夕焼け空を見ていると
嫌なこと全て忘れちゃう。



ボーッと空を見てると




くしゃっ―。



後ろから優しく頭を撫でる。
いつものこの手。



「お疲れ」

そしていつものこの笑顔。

少し低いハスキーな声。



「輝くん!!」


紗稀も笑顔で言葉を返す。






部活が始まる時間まで
いつも放課後たわいのない会話


いつの間にか、紗稀と輝くんの
日課になったんだ。




でも仲良くなったきっかけはね、今から約2ヶ月ほど前―。

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