《MUMEI》

「どうしたの?」



見上げると目のクリクリした
すごく顔立ちの良い男の子。



紗稀は一瞬、ドキッとした。


―隣のクラスの子かな‥‥!?


まじまじと見つめられて

ハッと、我に返って彼の質問に答える。



「あっ、えとねこれは―
先生に雑用を頼まれて‥‥。」



頬を流れ落ちそうな涙を拭いて
答えた。




―今の紗稀、すごくみっともないかも‥‥。




歯を食いしばってウルッとした涙に堪えようとした時に





ひょい―。





「あっ‥‥。」




持っていた真っ黒なゴミ袋を
奪われた。



紗稀は理解が出来なくて、キョロキョロと挙動不審になる。




よっこらせと袋を持ち上げて
見上げる彼が―。



「これきっと理科室だろ?重いから一緒に持ってく」



そう言って、一緒に雑用を手伝ってくれた。




他人事なのに、優しいな‥‥。
って、思ったんだ。

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