《MUMEI》 「よし。これで全部だな」 ―閑散とした理科室。 なんとか、先生の雑用を終えることが出来た。 ふうっと荒い息を整えると、 彼は去って行こうとした。 「あ、あの―。待って!!」 とっさに彼を呼び止める。 振り返った彼は、首を傾げて驚いた顔を浮かべる。 「手伝ってくれてありがとう。大変だったら助かった」 「あ、いや、うん」 そう言って、照れ笑いを浮かべる彼。 ‥‥多分紗稀も、少し照れてたのかもだけど。 「あの―‥‥名前は‥‥?」 「え?」 お礼を言う前に、まずは名前を聞きたかったんだ。 彼は目線を左に逸らすと、 少し震えたような声で答えた―。 「‥‥かる。山瀬 輝 」 ―やま‥せ、ひかる‥くん? 「山瀬くん―」 思わず声が出てしまった。 輝って名前、かっこいいな‥‥。 「ありがと、山瀬くん!!」 前へ |次へ |
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