《MUMEI》

それにこんなに広く無いから、むしろこっちで良かったのかも…。

「夜に私が居ないとジョンが寂しがるからね、是非とも今度はキミの部屋にもお邪魔したいな、是非とも!」
「えぇっ///せ、拙者の部屋は、その…拙宅でござるから…」

僕がそう言うと、キース殿は聞き慣れない言葉に首を傾げていた。

「”SETTAKU”とは何だい?」
「え…あの…自分の家の事を日本ではそう言うんでござるよ」
「そうなのか、では”セッタク”へようこそイワン君」
「あ///全然そんな事ないでござる!その…つまらない家とへりくだった言い方ゆえ…」

日本語で『拙』というと”下手な”とか”ダメな”という意味になるので、自分の事を謙遜している時に使う言葉である。

なのでいつも自分を表す時に言っている”拙者”という言葉は、最大限に自分を遜って(へりくだって)使う言葉でもあるので、これは僕にピッタリな言葉だと思った。

「そうなのか…あぁ私の家も私とジョンの男所帯だからそんなに良くはないぞ!」
「そんな事ないでござるよ///」

キース殿はそんな事を言って僕に笑いかけてくれたけど、キース殿の部屋はすっきりと片づいていて、家具も落ち着いたモノトーンの配色でカッコいいまさにヒーローが住んでいそうな部屋だった。


「よしよし、ジョンいい子だジョン!」
「えっ、はい!」

僕がキース殿の部屋をうっとりと眺めていると、突然目の前に大きくてフサフサとした犬が現れてキース殿目掛けて飛びついたかと思ったら、キース殿はその犬を抱きしめて”ジョン”と呼んでいた。

「ん、どうしたんだい?」
「わあぁッ!わ、わんこでござったか///せ…拙者もたまに”ジョン”と呼ばれる事があるゆえ…」

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