《MUMEI》

(オールコートマンツー解除か…これでようやく…)



中央ラインを越える秀皇。


オールコートマンツーが解除されたことにより攻撃時のあわただしさが嘘のように消え失せる。



(これでようやく…)



だが、
そこでセンターの足は止まる。



(ようやく…?)



「はぁ…はぁ…」



そして、気付く現状。



(ようやく…何だ…?
今の俺たちに…何ができる…?)



「はぁ…はぁ…」



有効打など、
どこにもなかった。


走ることにより赤高のディフェンスを突破していたのは、


オールコートマンツー以前も同じ。


また同じ手で?


いや、


同じになど成りうるはずもない。


彼らにその体力が残っていないのは歴然。


強引に仕掛けたとしてもスピードは7分前のそれと比べてしまえば見る影もない。


両45の突破も当然威力を失っている。


両サイドのコンビプレーもこの場面では発揮のしようがない。


ベンチの榊が余力を残してはいるが、


ここで投入したところで千秋が出てくるだけ。


頼みの綱は市原だが、


オールコートマンツーと違い中を固められてる今ではポストに落とすのは困難。


さて…選択肢は?



(ある…わけがねぇ…)

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