《MUMEI》 「では、楽しい夏休みを!」 担任が笑顔でそう言った。 生徒たちは一斉に立ち上がり、教室から出ていく。 百合はなんと、この日まで学校をサボった。 単位大丈夫なのかな、百合。 もうギリギリだったりして…。 ちょっと心配なんだけど。 「やっと夏休みか〜!まあバイトは17時からだし…」 「まだまだだね」 「え、一回帰る?」 「当たり前じゃん!」 バイトまで何時間あると思ってんの、こいつ。 さすがに帰るでしょ。 「…じゃあ、バイトまでさよーなら」 「迎えに行ってあげよ…」 「場所分かるから問題ない」 すっごい、つまらなそうな顔をする拓也。 ごめんなさいね。 …ていうか、迎えにまで来てもらうなんて…そんな申し訳ないことさせられない。 ちょっと拗ねている拓也に別れを告げ、私は教室を出た。 前へ |次へ |
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