《MUMEI》

何なの、この距離感…。

何か泣きたくなってきた。


ちょっとずつ私に近づいてくる健太。

私の目の前まで健太が来たとき、私は健太から目を逸らした。


「何で逸らすの?」

「別に理由はないけど」

「じゃあ見ろよ!」

「やめてよっ」


何でこんな言い合いしてるんだろう。

健太に肩を掴まれて、抵抗してしまう私。

抵抗なんて…付き合ってからはあまりしてないのに。

…やっぱり、何か変わってしまっている。


「愛香…」

「…距離がありすぎるよ」

「何でだよ!愛香は何で…俺から…」


…何で?

健太は自分で分からないの?

あの子と話してたじゃん。

一度だけじゃない。

何回も二人っきりで…って…そしたら私も健太のこと言えないのかな…。

拓也と…拓也と一緒にバイトやるから。

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