《MUMEI》

でも菜乃佳さんの事だし、時々来てくれるかな。

…まあその前にそれまで私が、あの場所でバイトしてるか分からないけど。


「愛香〜愛香、愛香〜」

「うっさい!何回も名前呼ばないでよ!…って、ちょっ…と!」


人気がなくなった瞬間、いきなり抱き着いてきた拓也。

こんなとこに健太がいるわけないけど…何か焦る。

…こんなこと…今までしたことないのに。

抱きしめる腕の力がどんどん強くなっていく。


「ね…拓也ちょっと…」

「…もう俺と付き合えよ」

「…は…、え?」

「あんな奴なんかより…絶対俺のがいいって」


…いきなり何?

私は健太が…健太のことが好きで、私は…健太と付き合ってるんだよ…。

拓也、分かってるでしょ?

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