《MUMEI》 「拓也ほんとに離して…っ」 「無理…ほんと無理…離したくない」 「…何でよっ…苦しいっ」 「愛香は…俺のこと嫌いじゃないだろ?むしろ…」 …むしろ、何? 確かに嫌いじゃないよ。 だけど…恋愛としての好きは…多分ないよ…。 友達としてなら好きだけど。 最初はかなり印象悪かったけど…、今はほんとに良い奴。 良い友達でいたいって…ダメなの? 「愛香…もう我慢出来ない…」 「ちょっ…拓也っ…」 拓也の顔が近づいてきて、胸が高鳴る。 こんな密着してるから、絶対にこの高鳴りばれてる。 …ダメだよ…ダメ。 だけど、抵抗出来なかった。 気付いた時には、私の唇には拓也の唇が重なってて。 一瞬のキスじゃなかった。 一回のキスじゃなかった。 何回も重ね、舌を絡めて。 …ごめん、健太…。 裏切ってしまってたのは…健太じゃなくて…私だった…。 前へ |次へ |
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