《MUMEI》 「よっ、と‥‥」 大量の本の山を必死で抱えた。 足、包帯でぐるぐる巻きだから 身動きが出来ないし なんせ、本の積み上げた高さが 紗稀の頭よりも上だから余計に視界がはばまれるという。 「‥‥‥お、重っ‥‥」 フラフラと足元がふらついたが、ひとつひとつ階段を上がる。 でもその時。 ―グラッ。 左足を踏み外し、視界が歪んだ。 “わっ、やば‥‥落ちっ‥‥” 「!!」 ―ドサッ。 バラバラと階段下に散らばる本。―中には破けた本もあった。 落下したはずなのに。と、おそるおそる目を開くと―。 ‥‥目の前に居たのは、紗稀を支える山瀬くんの姿だった。 前へ |次へ |
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